2011年07月14日

『着信御礼! ケータイ大喜利』

『着信御礼! ケータイ大喜利』(7月9日放送)

 このカテゴリー『見えない目で見るテレビ時評』の1本めで、
僕は朝の番組の星占いコーナーにかみついた。ただしあれは、
ご存じの方はご存じのとおり、もともとブログの形で書いた文章
ではなかった。HP立ち上げの記念すべき(僕にとっては、だが)
コンテンツ第一号として、当初はブログにリンクしていなかった
「Essay」のページに載せたものだ。そのとき僕は、ブログの
アップのしかたもまだわかっていなかった。

 したがって、今お読みのこの文章こそが、ブログとしての
『時評』の、記念すべき(僕にとっては、だが)第一弾という
ことになる。なんにせよ、「星占い」から、2カ月以上がたって
しまったことはたしかだ。

 その間に、実は1本書こうとした、というか書きかけた、
というか7割がた書いたものがあった。しかし、書き切れずに
いるうちに、とても『時評』と名乗れるようなタイミングでは
なくなり、アップを断念したのである。

 そのとき取り上げるはずだったのは、6月11日に放送された
フジテレビ『IPPON グランプリ』(以下『IPPON』)だ。
芸人たちが大喜利で競うこの番組について、一般視聴者の投稿に
よるNHK『着信御礼!ケータイ大喜利』(以下『ケータイ』)、
つまり今回取り上げる番組を引き合いに出し、やっぱりプロと
アマは違うのだということを書こうとしていた。といっても、
大方のご推察どおり、「さすがにプロは面白い」なんて間の抜けた
ことを、この僕がわざわざ言うわけがない。

 実際、お題に対する答えの面白さを客観的に比較するなら、
大差で『ケータイ』のアマたちに軍配が上がると、僕は思う……
こんあことを言うと、『IPPON』に出場している芸人や、
同番組チェアマン・松本人志のファンに怒られるかもしれないが。
ただ、さらにファンを激怒させつつあえてプロを弁護するなら、
アマとはいえ数千本(数字は当てずっぽう)からえりすぐられた
答えと、プロとはいえ一人が何本も搾り出した答えとを、単純に
比べること自体、酷な話しなのである。

 では僕は、プロのどこがどう「違う」と感じたのか。
 『ケータイ』の投稿者たちは、かりにボツになっても、つまり、
番組中で紹介されなかったとしても、本人がガッカリするだけの
ことだ。視聴者には、彼または彼女が投稿したかどうかすら
わからない。

 これに対し、プロの芸人は、スベることも沈黙することも
許されない。そういう立場で発表する答えは、おのずとアマとは
「質」が違うのだ――なんてことを書いていた。

 ところがここへきて、『ケータイ』が第二回の「レジェンド・
オブレジェンド」決定戦をやったのである。レジェンドが何かは
後ほど説明するとして、この気書くにおいてレジェンドたちは、
原則アマチュア(レジェンド昇格後にプロとなった例が知られて
いる)であるにもかかわらず、スベることも沈黙することも
許されない、すなわち、『IPPON』に出ているプロたちと、
ほぼ同じ立場にあるといってもいい。

 さあ、これを見てプロとアマの「質」の差に対する僕の考えが
どうなったかはちょっとおいといて、『ケータイ』について、少し
紹介しておくことにする。

 同番組は、スタート以来徐々に放送回数が増え、現在は月3回
土曜深夜に放送されている。番組の中でお題が出され、一般の
視聴者が携帯電話から答えを投稿。放送作家による一次審査を
経て、最終的には千原ジュニアが答えを選んで読み上げる。
それを、うちの読み上げソフトが「はんびそうろ」と、まるで
マイナーな四字熟語みたいに読む板尾創路が、独断で評価・判定
する。二人の名前を出したので、司会は今田耕司、と言って
おかないと不公平か。

 投稿者は、一度番組中で作品が紹介されると、「メジャー」と
呼ばれるようになる。以後は、最高評価の「アンテナ3本」を
受けるたびに、初段から段位が上がっていく。最高位は9段
(少し前までは7段)。そこでさらにアンテナ3本を獲得した人が
「レジェンド(伝説)」に昇格、別格の扱いを受けることになる。
ものすごくはしょった不備だらけの説明なので、詳しくは番組の
サイトなどを見て、いや、番組そのものを是非見ていただきたい。

 さて、一次審査にあたる放送作家が何人いるのか、一人が何本
くらいの投稿に目を通せるのかわからないが、一つのお題につき
数万本にのぼる答えの、すべてをチェックできるとは、到底
考えられない。先ほど「当てずっぽう」と断った「数千本」と
いう数字は、実際に一次審査まで到達するのはこれくらいかなと、
あまり根拠無く推測したものだ。ただ、この数字が違うとしても、
まず審査してもらうだけでも、星占いの上位3星座くらいの運は
要求されそうだ。

 もしかしたら、面白いと期待できるメジャー投稿者の作品は、
優先的に一次審査に送られるシステムになっているのかも
しれない。このところ毎年「メジャー入れ替え戦」を行なって、
メジャーの数を抑えているのは、そのためではないかとも考える。
しかしそれにしても、コンスタントに答えを読まれ、きっちり
高い評価を得て、着々と昇段していく常連投稿者はすごい。その
すごい人たちの頂点にいるのが、29人(11年7月14日現在)の
レジェンド、というわけだ。

 お気づきとは思うが、僕は『ケータイ』の大ファンだ。毎回
必ず録画予約し、何かの手違いで録画しそこねると、三日三晩
地団太を踏んでいるつもりで悔しがるほどである。だから、
先ほどの『IPPON』と『ケータイ』を比べたくだり、とくに
「大差で」という表現には多少ともひいき目が含まれているかも
しれない。

 どうしてそんなに好きなのか、そして、「レジェンド・オブ・
レジェンド」をどう見たのか、それは次回に譲る。僕も最近、
スベることはともかく、沈黙することは許されないような
プレッシャーを感じ始めているので、そろそろなにがなんでも
アップしなければ……。
posted by しんどう at 20:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 見えない目で見るTV時評

2011年05月02日

僕の運勢は一体……?!

 朝の番組の星占いコーナーが、重大な事態に立ち至っている。
この4月、日本の首都であるここ東京において、一つの番組の
終了と、もう一つの番組の裏切りともいえる変質が相次ぎ、僕
のような目の見えない人間が、確実に己れの運勢を知る道は、
ぷっつりと絶たれてしまったのである。

もちろん、CATVや衛星放送と契約して多チャンネル化して
いれば、話は別かもしれない。。また、うちは世田谷だけれど、
同じ東京でも地域によって、ろーかる局の入り具合が違うとい
うこともあるだろう。ただ、うちの視聴環境はけっして特殊な
ものではないはずだ。

 そんなわが家で、日々の星占いをチェックできる番組は、3
月まで3つあった。

 まずはフジの『めざましテレビ』。たぶん画面にはコーナー終
了までの「秒読み」が表示されていたりするのだろうが、耳で
聞いているだけだと、ランキングが1位から12位へという順
で紹介されていくので、「あれ、本当はカウントアップなんじゃ
ないの?」とつい違和感を覚えてしまうことでおなじみの、『今
日の占いカウントダウン』である。

 そもそも僕には、星占い(ほかの占いもそうだが)に細かく
順位をつける意味がわからない。恋愛運が2位か3位かでア
タックのしかたを微妙に変えたり、自分の運勢が天秤座よりい
いか悪いかで一喜一憂したりする人がいるんだろうか。それに、
占う人により順位がてんでバラバラなのはご存じの通り。今日
は自分の運勢がいいほうか悪いほうかがざっくりわかり、あと
はコメントでよりよくすごすためのアドバイスがもらえれば、
それで十分だと思うのだが。

 ランキング形式は、見えない人間には少々やっかいなのだ。
牡羊座から月順に読んでくれれば、蟹座の僕は、双子座まで鼻
歌まじりで渋茶をすすっていられるし、獅子座になったら煎餅
をバリバリと音をたてて食べたって構わない。ところがランキ
ングだと、順位は当然毎日変わるから、いつ読まれるかわから
ない蟹座を聞き逃さないために、コーナーの最初からときには
最後まで、ずっと気を抜くわけにいかない。そして、ほかの星
座のコメントまで集中して聞いてしまった結果、いったい今日
僕は、サンゴのアクセサリーを身につけるべきなのか、フルー
ツパフェを食べるべきなのか、混乱してしまうこともしばしば
なのである。

 しかも『めざまし〜』の場合、各星座のコメントが具体的で
詳しいのはいいが、そのぶん読むのに時間がかかる。平日の同
番組には6時前(コーナー名は異なる)、7時前、8時前の3回
星占いコーナーがあるけれど、それぞれ5つ、8つ、6つの星
座しか読んでもらえない。したがって、一番多く読んでくれる
7時前の回を見ても、自分の星座が読まれる確率は3分の2、
つまり3日に1度は運勢がわからないことになる。

 こんな日は、1時間待って8時前の回をもう一度チェックせ
ざるをえないわけだが、その苦労も必ずしも報われない。読ま
れる星座の数は、7時前と合わせて8+6=14、必ず毎回読む
ことになっている1位と12位の重複を差し引くとピッタリ12。
すなわち、振り分け方がうまければ、2回で12星座をすべて
音声でも紹介できる計算になる。しかし、歴代の女子アナの皆
さんは、そんなことに頓着しない。1位と12位意外に少なく
とも1つ、たいてい2つ、多いときは3つの星座をダブって読む。
それはとりもなおさず、少なくとも1つ、たいてい2つ、多い
ときは3つの星座の運勢が、読まれずに残るということだ。

 よくあるのだ……7時前にスキップされた2位こそが蟹座だと、
ほかの星座の順位から推測し、期待して迎えた8時前、またし
ても1位の次に3位が読まれてしまうことが。そのときの落胆
と怒りは、カキフライと間違えて軽く齧ってしまったレモンを
皿のワキにのけておいたのに、最後にカキもキャベツも食べ終
えたことを確かめようと動かした箸がそれに触れ、「あ、まだカ
キが……」と再び口に入れてしまったときの落胆と怒りにも匹
敵する。

 ちなみに、がんばって早起きし、6時前の回までチェックし
たとしても、結局蟹座が一度も読まれないことがあるのは調査
済みだ。結論は、『めざましテレビ』を、見えない人間があてに
してはいけない、ということになる。

 そこで2つめの番組、千葉テレビ『朝まるJUST』の出番だ。
実のところ、千葉テレビの電波は、世田谷のわが家までまとも
に届いてはいない。ただ『朝まる〜』は、冒頭の6時半から7
時まで、うちでも見られるTVKこと神奈川テレビでも放映し
ていた。番組全体では2回あるらしい星占いコーナーの1回めが、
その後半に置かれていたのである。

 このコーナーはかつて、『藤森さんの星占い』と呼ばれていた。
藤森緑さんが占っていたからだが、有機栽培の野菜に生産者の
名前が冠されているのと一緒で、まずそれだけで安心感、親近
感が持てた。

 藤森さんのコメントは、運勢があまりよくない日でも、基本
的にポジティブ。ラッキーポイントは奇抜で面白かった……奇
抜すぎてどう活用していいかわからないものも多かったが。

 画面には恋愛運、仕事運など項目ごとに◎○△×が表示され
ていたようで、そのうち総合運が◎のときは、「蟹座のあなたは
ラッキーデイ」と声でも知らせてくれた。ラッキー星座は毎日
3つくらいあり、8日ごとに2日連続で順番が回ってくるとい
うのが基本パターンだった。だから、蟹座のラッキーデイと予
想される日には見て気分よくフトンから起き出し、それ以外の
日はあえて見ないという裏ワザも使えた。

 そんなこんなでかなりお気に入りだったこのコーナーが、一
昨年だったか突然ランキング形式に変わった。担当も藤森さん
でなくなったのは明らかで、コメントには妙に説教めいたもの
が増えた。

 僕にとっては、コーナーの魅力がガタ落ちしたことはいうま
でもない。ただ、短いコメントをさっさと読んでいくだけなので、
全部聞いても大して時間はかからなかったし、その日の運勢が
上位か下位か、つまりいいほうか悪いほうかは確実にわかった
ので、それなりに重宝していた。

 しかし4月1日、コーナーどころか、『朝まるJUST』とい
う番組自体が、終了してしまったのである。

 そうなると、頼みの綱は3つめの番組、テレビ朝日『やじう
まテレビ』である。

 簡潔だが具体的でわかりやすいコメントを、月順に淡々と読
んでいき、最後にその日一番ラッキーな星座を教えてくれると
いうシンプルなスタイル。前身の『やじうまプラス』から現在
の番組に変わったとき、コーナーの時間が後ろにずれ、『めざま
し〜』の8時前をチェックしなければならない日は、途中で
チャンネルの切り替えが必要となった。しかし、間違いなく4
番めに読んでくれる蟹座を聞いてから変えれば悠々間に合うので、
大きな問題ではなかった。『朝まる〜』がランキング形式に堕落
してからは、正統派のまさに最後の砦となっていたのだ。

 ところが、『朝まる〜』の終了からわずか3日後の4月4日午
前7時57分、僕の耳に衝撃が飛び込んできた。『やじうま〜』
の占いコーナーは、『12星座ダービー』と名称を変え、ランキ
ング形式になってしまったのである。

 しかしこうしてみると、先ほど「意味がわからない」と書い
たランキング形式には、やっぱり何か視聴者を引きつけるもの
があるのかもしれない。さすがにディレクターの自己満足のた
めだけなら、このように正統派がことごとくランキング形式に
鞍替えすることはない気もする。

 だから、もし『やじうま〜』がただ星占いをランキング化し
たというだけなら、この文の最初に使った「裏切りとも言える」
という表現は、やや言いすぎだろう。でも、『やじうま〜』の
「変質」は、それにとどまらなかった。

 『やじうま〜』の「うま」からきて『12星座ダービー』、そ
れで実際、コーナーの最初に、競馬のアニメとおぼしきものが
つくようになったのである。ランキング上位の4星座がたぶん
ジョッキーとなり、4頭がコケたり、ニンジンを食べてパワー
アップしたりといった茶番を繰り広げた末、1位4位が決定する。
といっても、順位は文字通り「星」によって定められているわ
けだから、これぞ「できレース」だ。

 こうしたアニメは、真摯に今日の運勢を知りたいと願ってい
る者にとっては、むろんまったく無意味である。でも、もしか
したら映像がそれはそれは面白くて、お出かけ前や家事の合間
の一服の清涼剤となるのかもしれないから、それについても文
句はつけない。

 問題は、アニメにかなりの時間が割かれた結果、すべての星
座のコメントを読んでくれなくなったことだ。読み方のパター
ンは徐々に固まり、現在は、順位はすべて紹介するけれど、コ
メントは8星座だけ読む。つまり、自分の星座が読まれる確立は、
『めざまし〜』の7時前と同様3分の2、3日に1度は今日を
生きぬくための指針が得られないわけである。しかも、読まれ
るコメントも、かつてに比べ非常に素っ気無く、不親切なもの
になった。

 ここまで書けば、頼みの綱だった『やじうま〜』の変質が、
見えない僕には「裏切り」とも感じられた理由がわかっていた
だけただろう。いったい今日一日、僕は何を頼りに生きていけ
ばいいのだろうか。

 もちろん、調べようと思えば、星占いのサイトなんてネット
上に山ほどあることは、重々承知している。ただ僕は、わざわ
ざネットでチェックするほど、星占いを好きなわけでも、気に
しているわけでも、ましてや信じているわけでもないのである。
posted by しんどう at 11:50| Comment(0) | 見えない目で見るTV時評