2011年06月10日

HISASHI 11/6/9

HISASHI 11/6/9――音ゲル係数 5

HISASHIのライブを、なぜみんなは聴かずに平気でいられるのか、
僕には理解できない。それほど、僕にとって彼の歌を、とりわけ
生で聴いている時間は、まさに「至福のとき」なのである。

もう一人の溺愛アーティスト・RIQUOは女性なので、あまり
ホメ過ぎると下心を疑われるからひかえめにしているけれど、
HISASHIの場合はその心配はない(はず…だと思う)ので、
手放しでホメ讃えることにする。

まずは彼の声。初めてCDの彼の歌が耳に入ってきたとき、
井上陽水かと思った。声質は似ている。でも、しばらく聴いて
みると、陽水より複雑で幅があり、ずっとセクシーな声だった。
それからしばらくは、ある場所で、ラジカセで再生されるCDを
聴くだけだったが、ついにライブに出かけたとき、再び彼の声に
圧倒された。

歌唱力も図抜けている。。独特の声と広い音域を生かした繊細な
表現力はもちろんのこと、スキャットのテクニックも抜群で
センスもいい。ちなみに、舌を鳴らすパーカッションは彼の
得意ワザだ。

日本の男性ジャズボーカルというと、小林桂とかTOKUとか、
似たタイプが多いように思うのだが、HISASHIは別世界の人間。
ジャズ界だけでなく、日本の男性歌手全体を見渡しても、彼の
ようなボーカリストはちょっと見当たらない。

さらに、彼のオリジナルが素晴らしい。ジャズではなくて、
ポップスとしか分類できないが、とにかく美しい曲である。
バラードが多く、マイナーとメジャーの間をたゆたうコード進
行が独特の世界を創り出す。

まだある。そのオリジナルを含めた選曲、スタンダードはじめ
カバー曲のアレンジ、彼ならではのMC。アングラな世界かと
思いきや、実はエンターテインメント性も高い。もちろん、
今回のユニットのメンバー、ヤヒロトモヒロ(perc)、一本茂樹(b)、
阿部篤志(p)をはじめ、バックのミュージシャンも一流だ。

この上質で美しく、しかも楽しいHISASHIワールドを、
どうしてみんな体験しようとしないのか、それほど広くない
渋谷・クラシックスがなぜ人であふれ返らないのか、僕には理解
できないのである。
とはいえ、音楽も食べ物と同様、好みの違いが大きい。僕の心の
琴線は、HISASHIの音楽によってワシヅカミにされているけれど、
みんながみんなそうなるとは限るまい。でも、僕と同じような
琴線が、心に張られている人も、少なくないと思うのだ。

そんなわけで、次のチャンスは6月19日、わが国屈指の
ベーシスト・吉野弘志(どのくらいすごい人かは各自調べて
ください)とのデュオだ(詳しくはRecommendのページに)。
ところがなんと、その日は、あとから決まった僕自身の本番が
カブっているではないか(詳しくはScheduleページに)。だから、
大きな声でオススメするわけにはいかない。ただ、このブログを
読んでくださり、自由が丘のほうに駆けつけてしまった方を、
僕はうらまない。
posted by しんどう at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 音ゲル係数

2011年06月08日

開座 11/6/7

開座 11/6/7

「開座」は舞踏集団。少し前まで、僕はその舞台でしょっちゅう
尺八を吹いていた。最近吹かなくなった理由が、複雑な大人の
事情なのか、単純な子供の意地なのか、当人にもわかりかねる。
あまりツッコミたくもない。

舞踏というのは、わかりやすく言えば、ダンスと芝居の真ん中
あたりのパフォーマンスだ。基本的にセリフはなく、身体の
動きだけで何かを表現するのだが、バックに音楽を流したと
しても、そのリズムに合わせて踊ることはしない。それだけに、
演者の個性が如実に表れる、そこに注目するのが、舞踏を楽しむ
コツといえるかもしれない。

いずれにせよ、僕には演者がどんな動きをしているのかは、
当然のことながらほとんどわからない。それでなぜコラボが
できたのかは置いといて、、吹かないとなると、何をしに公演に
足を運ぶのか、けっこう微妙ではある。

ただ今回に限っては、間違いなく月嶋紫乃さんの朗読を目当てに
出かけた。そして、期待は裏切られなかった。

紫乃さんは女優で、チャーミングという言葉は彼女のために
あると思ってしまうほど、チャーミングな人である。僕が相手の
声やしゃべり方からいだくイメージは、たいていは人に説明
できるほど明確ではないのだけれど、紫乃さんは数少ない例外の
一人で、はっきり七瀬なつみだ。ただし言うまでもなく、僕の
想像の中の紫乃さんは、七瀬なつみよりさらに7割がた美しい。
むろんとんだ見当違いで、本人ならびに周囲の人たちから爆笑
されるかもしれないが。

その紫乃さんが朗読したのは、「おしらさま」の伝説だ。養蚕の
起源譚となっている、馬と人間の女性との恋物語で、話自体が
とても魅力的である。開座は一昨年のギャラリー公演でも、
この「おしらさま」をテーマにしており、そこには僕も参加して
いたので、内容は知っていた。

紫乃さんは、国語学的にはかなり怪しい方言や、寺山修司の
モノマネまでまじえて読んでいった。開座の普段の公演では
感じることが難しい(ないとは言わない)軽く、明るい空気が
漂う。朗読の合間、あるいはバックで流れるのは、このところ
開座がテーマとしている美空ひばりの歌、そして映画音楽
『ひまわり』。そのギャップも面白い。音的には、かなり楽しめた。

肝心の舞踏作品としてはどうだったのか。これについては責任の
ある発言をするわけにはいかない。ただ、見えもしない僕がなんとなく
ひきつけられる、そんな不思議な力があることは確かだ。あとは、
ぜひご自分の目で確かめていただきたいと思う。ついでに、
月嶋紫乃さんが七瀬なつみに似ているのかどうかも……。

開座HP
http://www.kaiza.me/top.html
posted by しんどう at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 音ゲル係数

2011年06月06日

黒田月水 11/6/4

黒田月水 @代官山・オンザヒル

昨日は、かなり音楽な1日だった。

 午後は日吉で、筝の演奏家・ティムソン真澄さんと音合わせ。
曲は今度一緒にやる(情報は間もなくアップします)『テイク
ファイブ』、そしてついでに、将来やると思われる古曲『千鳥之曲』
も合わせてみた。う〜む、前唄のところはもう一度覚え直さねば。
そのあと、二胡の人と真澄さんの音合わせもあったのだが、
ずうずうしくその曲にも参加させてもらうことになった。

そこから、好都合にも東横線1本で代官山へ移動。明らかに
ライブのスタートには間に合っていなかったのだけれど、唄の
内容解説で盛り上がっていたらしく、メインの曲の演奏は
最初から聴けた。

月水さんは、ものすごく男前である。容姿はもちろんとても
美しい(らしい)のだが、それに加えて豪快というか、キップが
いいというか、男だけでなく、女でもホレてしまう感じなのだ。
あ、本人が女性だということを言い忘れていた。

琵琶は、日本の伝統楽器の中で、かなり特殊な存在だと思う。
シンコペーションも駆使するあの独特なビート感は、同じく
日本では珍しいビート系の楽器である津軽三味線にもない。

そのビートと、パーカッション的な奏法を含む多彩な音色で
描写する「戦い」の場面などは、ゾクゾクするほどの迫力だ。
これを生で体験しないなんて、一生ディズニーランドに行かない
のと同じくらいもったいない……んじゃないかな、僕はDLに
行ったことはないのでわからないけれど。

しかもそれに、素晴らしい琵琶歌がつく。最初に琵琶歌に圧倒
されたのは、小椋佳の舞台で薩摩琵琶の岩崎晴龍さんの演奏を
聴いたとき。ほかの日本の声楽とは一味違う朗々とした語りが、
以来大好きだ。

さて、そこで月水さんである。演奏もすごいが歌もすごい。
『本能寺』を聴いたのは初めてだったが、遅刻して聞けなかった
開設ヌキでも、情景がありありと伝わってくる。まあ、僕が古い
人間なので、昔の言葉が多少わかるということもあるだろう
けれど、それ以上に彼女の歌の力だと思う。

そうした、琵琶奏者としての完璧な技術的土台の上に、即興演奏
(今回はなかったが)もこなす彼女の音楽性の幅広さ、柔軟さ。
月水さんのライブは、琵琶の魅力をフルに味わわせてくれる。

そんな素敵な月水さんが、また一緒にやりたいと言ってくれた
ので、8月あたりに梅ヶ丘でコラボを企画することにした。
是非お楽しみに。

ライブが終わって梅ヶ丘に戻ると、いつもの Take Five では、
ピアニスト・島健さんのバースデイ祝い。乾杯してケーキを
食べただけで、演奏だの余興だのがあったわけではないけれど、
やっぱりちょっと音楽な感じで1日が終わった。
posted by しんどう at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 音ゲル係数