2013年04月22日

とんでもございません・その1

まず最初におたずねしたい。
「とんでもございません」という言葉づかいを聞いて、あなたは
違和感を感じますか?

「この表現は正しいと思いますか」と尋ねたなら、間違っていると
答える人は、そこそこいるに違いない。何年か前の日本語ブーム、
「間違った日本語」狩りの嵐の中で、「とんでもございません」も
エジキとなったから、各局がこぞってつくったそのテの番組で、
バッシングを目にした、耳にした人は多いはずだ。何を隠そう、
今回これを書く気になったのも、つい最近TBS系「ひるおび」が、
「また」なのか「まだ」なのか、この言葉をクイズ形式で取り上げて
いたからである。

でも、違和感を感じるか否かという質問に対しては、これが間違った
表現だと主張する学者先生たちでさえ、建前はともかく本音では、
感じていないと答えるのではなかろうか。うっかり使ってしまって
いる先生も、一人二人どころか、千人二千人ではないかもしれない。

まずは、「とんでもございません」がなぜ間違いだといわれるのか、
ちょっとおさらいしておく。
あ、この先長くなって、毎度のことながら1回では終わらないが、
あしからずご覚悟いただきたい。

そもそも、「ない」の部分が「ございません」に変わるメカニズムが少々
複雑だ。語尾の「ない」はときに形容詞、ときに助動詞、ときに
単語の一部なのだが、そのうち形容詞の場合のみ、敬意を含む
「ありません」「ございません」に変化しうる。

助動詞の場合というのはたとえば「歩けない」、単語の一部の場合と
いうのはたとえば「あどけない」だが、これらは「歩けありません」
「あどけございません」になることは決してない。
一方、形容詞の場合、たとえば「面白くない」「言うまでもない」は、
「面白くありません」「言うまでもございません」と言い換える
ことができる。

これは、形容詞の「ない」の反対語が「ある」だからだ(形容詞の
反対語がなぜ動詞なのかは、5年後くらいにこのブログで書くかも)。
つまり、「ある」を助動詞を使って否定した「あらぬ」イコール
「ない」ということになる。
この「あらぬ」に丁寧語の「ます」をはさめば「ありませぬ」、
さらに「ある」を謙譲語の「ござる」に変えれば「ござりませぬ」、
これらが発音しやすいように変化して、「ありません」「ございません」
になったというわけだ。

したがって、形容詞の「ない」は、言葉づかいを丁寧にしたい、
敬意をこめたいというときにはいつでも、「ありません」や
「ございません」に置き換えることができるのである。
さて、これをふまえて「とんでもございません」について考えるのは
次回、いや次回以降……。
posted by しんどう at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | チョイ気になる言葉
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