2011年07月20日

変拍子・その2

変拍子・その2――すいすい句ろん 5

★手花火の先M78星雲  粋酔

 前回は、「変拍子俳句」のパターンの一つとして、中間切れを
紹介した。例にあげた拙句は、中七の真ん中に切れ字「や」が
あるのでわかりやすかったが、切れ字がなくても、意味の上で
「中間」で切れ、それでリズム的にも変拍子となる場合はある。
 拙句から、季節にこだわらず二つ例をあげてみる。句の意味は
……皆さんの解釈におまかせする。

 「筍はこびない俺もこびるまい」
 これは、普通の文章なら「こびない」の後に「。」がつくから、
ここで切れることは明らかだ。読む場合は、ここに間をあけると
ともに、おそらく「筍は」と「こびない」の間は休符3つ分より
詰めて、変拍子的リズムになるだろう。

 「早紅葉の径少女の手のひんやりと」
 最初の部分は「さもみじのみち」と読んで、意味の上では当然
ここで切れる。この句は中七が八音の字余りになっているので、
「径」の後ろに間をおいた時点で8ビートは完全にくずれる。
さすがに俳句には、ラップみたいに3連音符を使って、文字数の
つじつまを合わせるワザはないからだ。
 やはり、上五と中七の間を少し積めぎみにしても、かなり
変拍子感は強くなるのではなかろうか。

 さて、ここまでに出した句は、変拍子のものも含め、五・七・
五の切れ目と言葉(文節)の切れ目は一致していた。たとえば
先ほどの2句は、
 「筍は、こびない。オレも、こびるまい」
 「早紅葉の、径。少女の手の、ひんやりと」
と、上五、中七の後ろに「、」を打つことができる。ただ、中七の
途中にもっと大きな切れである「。」がつくわけだが。

 これに対し、冒頭の句は、中七の後ろには絶対「、」が打てない。
 「てはなびのさきえむななじゅうはちせいうん」
 これを無理やり音数で五・七・五にはめこむと、
 「てはなびの・さきえむななじゅう・はちせいうん」
 つまり「、」を打つなら「7」と「8」の間ということになって
しまうからだ。

 こんなふうに、五・七・五の切れ目と言葉(文節)の切れ目が
一致しないことを、「句またがり」という。
 「4拍子8ビート」の3小節という例のワク組で考えると、
「中間切れ」は1小説が二つに分かれて変拍子になるのに対して、
「句またがり」は、二つの小説がつながってしまうことによって
生まれる変拍子ということになる。

 ただリズム的には、もともと中七は下五に切れ目なくつながる
部分だから、上掲句のように、後半二つの句またがりは、あまり
変拍子を感じさせない。むしろこの句では、「手花火の先」で
切れることのほうが、変拍子的かもしれない。

 最後に一応、句の意味を……。
 「M78星雲」は、ウルトラマンたちの故郷だ。子供のころ、
火をつけた花火を、フラッシュビームを放つベーターカプセル
(初代ウルトラマンの変身アイテム)に見立てて空に向け、
「シュワッチ」とか叫んでいたなあという、懐かしい思い出で
ある。結果的に、花火のボオッとした光で、周囲の闇から切り
離された、自分たちだけの世界と、星空のかなたが直結している、
そんなイメージを表現できていたらいいなと願う次第である。
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